Canon ST-E2は、キヤノンのE-TTL / E-TTL II多灯ライティングを光（近赤外）通信で統合制御するホットシュー装着型ワイヤレストランスミッターです。カメラの測光・露出制御と連動し、スレーブ側スピードライトのA:B比率制御やチャンネル管理、フラッシュ露出補正（FEC）、FEロックなどを簡潔に運用できます。発光管を持たないため発光によるチャージ待ちは不要で、暗所では**AF補助光（近赤外パターン投光）**がピント合わせを支援します。屋内記録・ブライダル・商品撮影・インタビュー照明まで、**スピードライト多灯の“指揮役”**として信頼性の高い運用が可能です。

主な特徴

E-TTL / E-TTL II多灯制御：プリ発光を用いたTTL制御により、環境光変動が大きい現場でも露出の再現性を確保します。

A:B比率ライティング：メイングループAとフィルグループBの8:1〜1:8（1/2段刻み）の比率設定に対応し、キー／フィルのバランスを素早く決定できます。必要に応じてグループCを独立発光（比率外）させ、背景やヘアライトに用いる構成が一般的です。

光通信（近赤外）：スレーブの受光窓へ見通しで到達する**屋内約12〜15m／屋外約8〜10m（目安）**の伝送範囲。電波混雑の影響を受けにくく、CH 1〜4で混信回避が可能です。

ハイスピード／後幕対応：HSS（FP）・後幕シンクロはボディとスレーブ側の対応に準じて使用できます。

AF補助光：近赤外の投光パターンで合焦をサポート。対応ボディの測距点（中央〜複数点）に合わせて機能します。

シンプル操作・軽量：発光を持たないため静粛で、2CR5リチウム電池で長寿命駆動。軽量・小型で常時装着しても負担になりにくい設計です。

運用と利点

ブライダル／イベント：移動の多い現場で、被写体と背景の明暗差が大きく変化してもA:B比率＋FECで迅速に追随。

商品・EC撮影：白背景のトーン再現や反射物のコントロールに、**キー／フィル／ヘア／背景（C）**の役割分担が有効です。

インタビュー／ロケ：HSSと後幕を併用し、被写界深度や被写体ブレ表現を柔軟にコントロール。

教育・スタジオ：光通信の挙動が視覚的に理解しやすく、照明設計の基礎学習にも向きます。

設置・運用の注意

見通し確保：ST-E2の送光部とスレーブの受光窓が相互に見える配置を基本とし、逆光・直射日光下では距離短縮・角度調整で確実性を高めます。

混信対策：複数組が同空間で運用する場合は**チャンネル（1〜4）**を明示・固定してください。

電源管理：2CR5は同一銘柄で交換し、予備を携行。低温下ではパフォーマンス低下に注意します。

互換性：HSS・後幕・AF補助光の挙動はボディ／スレーブ機種で差が出ます。実機組み合わせで事前検証してください。

対応機種

580EX II

430EX II

320EX

270EX II

本体 x1

自立スタンド x1

取扱説明書 x1